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変動予算を用いた製造間接費差異の図解分析(その1)

数式 a x b は、下図のように、面積として示すことができる。
面積図


 
 原価差異の一つである製造間接費差異(原価差異)の総額は、(実際発生額 - 標準配賦額)の算式として求められ、その総額を3分法で示すと以下のように分類される。
   
 標準原価計算において、変動予算を用いて製造間接費差異を分析すると、①予算差異・②能率差異・③操業度差異に3分される。  以下に一般式を示す。

①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額


 これを図に示すと、次のように面積として表示される。

 緑色の部分は、標準配賦額(製造間接費における標準原価に相当する)であるので、この部分を除いた色付きの部分が”製造間接費差異”を示す。
 (図の中の数値は、以下の例題に使用されている数値である。)

原価差異5


以下、上図の面積( ①・②・③ )で表示された製造間接費差異の3分法について解説する

(変動費とは何か):変動費とは、操業度の増減に応じて、比例的に変動する費用のことである。操業度の単位は、”作業時間”が一番多いようである。”製品製造量”或いは”製品製造数”を操業度の単位とすることもある。こんなところから、操業度とは何かを推定してください。材料費が変動費の典型であるが、製造間接費では電力料(1Kwh当たりの単価 x 使用電力量)の類である。但し電力料金の基本料は固定費に属する。

(固定費とは何か):固定費とは、操業度の増減にかかわらず、不変で常に発生する一定費用のことである。電力料の基本料の類である。


******************************************************************************************************
 
変動予算を用いた製造間接費差異を、以下の例題を基に、予算差異・能率差異・操業度差異に分解・図説する。

変動予算とは、操業度(この例題の場合は、作業時間)に対応する費用予算額であり、以下のようになる。
変動予算額(対実際時間)= (実際時間 X 変動費配賦率 )+ 固定費用
変動予算額(対標準時間)= (標準時間 X 変動費配賦率) + 固定費用

なぜ配賦率というのか : 製造間接費は電力料・ガス代・水道料金・消耗品費・保険料・減価償却費等の複数費目から成り、単一費目ではない。これが電力料だけといった単一費目であったなら、”時間当たりの料金”といったような単位で、材料費や労務費と同じ扱いがされたであろう。製造間接費は複数費目から成るが故に、”配賦率”という時間当たりの費用を製品に負荷する単位を設けたのである。

 例題の要素を以下に述べ、変動予算を導く。
基準操業度 : 直接作業時間 3,500 時間 (操業度100%)とし、この時の変動費総額・固定費総額は次の通りとする。
変動費総額 : 700,000 従って、変動費配賦率 700,000 ÷ 3,500 = 200
固定費総額 : 455,000 従って、固定費配賦率 455,000 ÷ 3,500 = 130

基準操業度とは操業度の単位を「作業時間」に取るなら、設備資源を100%稼動させた時に発生する(要する)作業時間(操業)を指すものであり、固定費を製品に配賦する基準である操業度ということになる。通常は予算設定時の作業時間で表す。予算作業時間と言ってもいい。1日8時間、月20日労働をするとして、一人当たり の月間作業時間は、160 時間が可能ということになる。 従って、20人の工場では、20x160=3,200 時間が、月間の基準操業度ということになる。 これに対して、欠勤・早退等があると、実際作業時間は、3,000 時間といった具合になる。なお、これらの数値は以下の例題とは無関係です。
 
 実際生産量から算出した作業時間要素は、以下の通りとする。
実際作業時間 : 3,070 時間
標準作業時間 : 3,000 時間(これに対し実際時間は3,070時間であるから、70時間は無駄時間であったということである。)

費用の実際発生額 : 1,105,840
標準配賦額 : ( 200 + 130 ) X 3,000 = 990,000
(製造間接費においては標準原価=標準配賦額 である)

この条件で、予算差異・能率差異・操業度差異を算出し、図解を試みる。

上記の要件から変動予算額を算出します。
変動予算額(対実際時間): 3,070 X 200 + 455,000 = 1,069,000
変動予算額(対標準時間): 3,000 X 200 + 455,000 = 1,055,000

( 1 )基準操業度 3,500 時間における、変動予算額(対基準操業度)は下図の面積で示される。

    これ以降の図は全て、費用額(配賦率 X 時間)を面積(色付の部分)で示している。

原価差異1


( 2 )実際時間 3,070 時間に対する変動予算額(対実際時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

 固定費は、「固定費」というくらいであるから、一定である。(と、仮定する。以下「固定費」は常に一定とする。固定費が変化する場合も当然あるが、これは次講に記述されています。)
原価差異2


( 3 )標準時間 3,000 時間に対する変動予算額(対標準時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

原価差異3


( 4 )費用の実際発生額は下図の面積で示される。:色付きの部分全てです。

 赤の部分は、実際発生額により、増加した変動比率である。
(実際発生額 1,105,840 - 変動予算額(対実際時間) 1,069,000) ÷ 実際時間 3,070 = 増加変動比率 12
 この 12 という数値は結果としてそうなったということです。例えば、電力料金の1時間当たりの料金が、当初予定していたよりも 12円 値上がりしたような場合です。
(本当は、1Kwh当たりの料金で電気料金は計算するが、この際は捨象する)

原価差異4



( 5 )帰結:差異分析図

( 4 )の図に、標準配賦額(緑色の部分 : 標準原価を意味する)を当て嵌めると下図のようになる。
 色が付いている部分から、緑色の部分を除くと、”差異総額”が示される。
 
この”差異総額”を、①予算差異・②能率差異・③操業度差異 に分解してある。
(第1法)と(第2法)に分けて図示し、各々について図の直後に、3分法の差異の”一般式”を示してある。
この面積図と ”一般式” が一致するのが、見て取れます。

(第1法)と(第2法)の違いは、”能率差異”と”操業度差異”の大きさにある。
これは、(第2法)の「②の2」の部分が、”能率差異”に属するか、”操業度差異”に属するかの違いである。


( 第1法 )
原価差異5

(第1法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,069,000 - 1,055,000 = 14,000(借方)
操業度差異 : 1,055,000 - 990,000 = 65,000(借方)



( 第2法 )
原価差異6

(第2法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間) [ 第1法と同じである ]

②能率差異:(標準配賦率 X 実際時間) - 標準配賦額
[ 能率差異は、「②の1」と「②の2」を加えた部分である ]

③操業度差異:変動予算額(対実際時間) - (標準配賦率 X 実際時間)

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,013,100 - 990,000 = 23,100(借方)
操業度差異 : 1,069,000 - 1,013,100 = 55,900(借方)

製造間接費差異の図解(その2)に続く。
”次講” では、これまでのことを踏まえて、製造間接費差異が材料費差異・労務費差異と同じ概念になることを説明する。

 ”次講” へ行くには下記アドレスにマウスを当ててクリックして下さい。
 或いは右欄最上部 ”過去の題目” から選択して、クリックして下さい。
 

http://simonp.blog.fc2.com/blog-entry-2.html






Copyright © 製造間接費差異の図解分析 All Rights Reserved.


変動予算を用いた製造間接費差異の図解分析(その1)

数式 a x b は、下図のように、面積として示すことができる。
面積図


 
 原価差異の一つである製造間接費差異(原価差異)の総額は、(実際発生額 - 標準配賦額)の算式として求められ、その総額を3分法で示すと以下のように分類される。
   
 標準原価計算において、変動予算を用いて製造間接費差異を分析すると、①予算差異・②能率差異・③操業度差異に3分される。  以下に一般式を示す。

①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額


 これを図に示すと、次のように面積として表示される。

 緑色の部分は、標準配賦額(製造間接費における標準原価に相当する)であるので、この部分を除いた色付きの部分が”製造間接費差異”を示す。
 (図の中の数値は、以下の例題に使用されている数値である。)

原価差異5


以下、上図の面積( ①・②・③ )で表示された製造間接費差異の3分法について解説する

(変動費とは何か):変動費とは、操業度の増減に応じて、比例的に変動する費用のことである。操業度の単位は、”作業時間”が一番多いようである。”製品製造量”或いは”製品製造数”を操業度の単位とすることもある。こんなところから、操業度とは何かを推定してください。材料費が変動費の典型であるが、製造間接費では電力料(1Kwh当たりの単価 x 使用電力量)の類である。但し電力料金の基本料は固定費に属する。

(固定費とは何か):固定費とは、操業度の増減にかかわらず、不変で常に発生する一定費用のことである。電力料の基本料の類である。


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変動予算を用いた製造間接費差異を、以下の例題を基に、予算差異・能率差異・操業度差異に分解・図説する。

変動予算とは、操業度(この例題の場合は、作業時間)に対応する費用予算額であり、以下のようになる。
変動予算額(対実際時間)= (実際時間 X 変動費配賦率 )+ 固定費用
変動予算額(対標準時間)= (標準時間 X 変動費配賦率) + 固定費用

なぜ配賦率というのか : 製造間接費は電力料・ガス代・水道料金・消耗品費・保険料・減価償却費等の複数費目から成り、単一費目ではない。これが電力料だけといった単一費目であったなら、”時間当たりの料金”といったような単位で、材料費や労務費と同じ扱いがされたであろう。製造間接費は複数費目から成るが故に、”配賦率”という時間当たりの費用を製品に負荷する単位を設けたのである。

 例題の要素を以下に述べ、変動予算を導く。
基準操業度 : 直接作業時間 3,500 時間 (操業度100%)とし、この時の変動費総額・固定費総額は次の通りとする。
変動費総額 : 700,000 従って、変動費配賦率 700,000 ÷ 3,500 = 200
固定費総額 : 455,000 従って、固定費配賦率 455,000 ÷ 3,500 = 130

基準操業度とは操業度の単位を「作業時間」に取るなら、設備資源を100%稼動させた時に発生する(要する)作業時間(操業)を指すものであり、固定費を製品に配賦する基準である操業度ということになる。通常は予算設定時の作業時間で表す。予算作業時間と言ってもいい。1日8時間、月20日労働をするとして、一人当たり の月間作業時間は、160 時間が可能ということになる。 従って、20人の工場では、20x160=3,200 時間が、月間の基準操業度ということになる。 これに対して、欠勤・早退等があると、実際作業時間は、3,000 時間といった具合になる。なお、これらの数値は以下の例題とは無関係です。
 
 実際生産量から算出した作業時間要素は、以下の通りとする。
実際作業時間 : 3,070 時間
標準作業時間 : 3,000 時間(これに対し実際時間は3,070時間であるから、70時間は無駄時間であったということである。)

費用の実際発生額 : 1,105,840
標準配賦額 : ( 200 + 130 ) X 3,000 = 990,000
(製造間接費においては標準原価=標準配賦額 である)

この条件で、予算差異・能率差異・操業度差異を算出し、図解を試みる。

上記の要件から変動予算額を算出します。
変動予算額(対実際時間): 3,070 X 200 + 455,000 = 1,069,000
変動予算額(対標準時間): 3,000 X 200 + 455,000 = 1,055,000

( 1 )基準操業度 3,500 時間における、変動予算額(対基準操業度)は下図の面積で示される。

    これ以降の図は全て、費用額(配賦率 X 時間)を面積(色付の部分)で示している。

原価差異1


( 2 )実際時間 3,070 時間に対する変動予算額(対実際時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

 固定費は、「固定費」というくらいであるから、一定である。(と、仮定する。以下「固定費」は常に一定とする。固定費が変化する場合も当然あるが、これは次講に記述されています。)
原価差異2


( 3 )標準時間 3,000 時間に対する変動予算額(対標準時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

原価差異3


( 4 )費用の実際発生額は下図の面積で示される。:色付きの部分全てです。

 赤の部分は、実際発生額により、増加した変動比率である。
(実際発生額 1,105,840 - 変動予算額(対実際時間) 1,069,000) ÷ 実際時間 3,070 = 増加変動比率 12
 この 12 という数値は結果としてそうなったということです。例えば、電力料金の1時間当たりの料金が、当初予定していたよりも 12円 値上がりしたような場合です。
(本当は、1Kwh当たりの料金で電気料金は計算するが、この際は捨象する)

原価差異4



( 5 )帰結:差異分析図

( 4 )の図に、標準配賦額(緑色の部分 : 標準原価を意味する)を当て嵌めると下図のようになる。
 色が付いている部分から、緑色の部分を除くと、”差異総額”が示される。
 
この”差異総額”を、①予算差異・②能率差異・③操業度差異 に分解してある。
(第1法)と(第2法)に分けて図示し、各々について図の直後に、3分法の差異の”一般式”を示してある。
この面積図と ”一般式” が一致するのが、見て取れます。

(第1法)と(第2法)の違いは、”能率差異”と”操業度差異”の大きさにある。
これは、(第2法)の「②の2」の部分が、”能率差異”に属するか、”操業度差異”に属するかの違いである。


( 第1法 )
原価差異5

(第1法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,069,000 - 1,055,000 = 14,000(借方)
操業度差異 : 1,055,000 - 990,000 = 65,000(借方)



( 第2法 )
原価差異6

(第2法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間) [ 第1法と同じである ]

②能率差異:(標準配賦率 X 実際時間) - 標準配賦額
[ 能率差異は、「②の1」と「②の2」を加えた部分である ]

③操業度差異:変動予算額(対実際時間) - (標準配賦率 X 実際時間)

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,013,100 - 990,000 = 23,100(借方)
操業度差異 : 1,069,000 - 1,013,100 = 55,900(借方)

製造間接費差異の図解(その2)に続く。
”次講” では、これまでのことを踏まえて、製造間接費差異が材料費差異・労務費差異と同じ概念になることを説明する。

 ”次講” へ行くには下記アドレスにマウスを当ててクリックして下さい。
 或いは右欄最上部 ”過去の題目” から選択して、クリックして下さい。
 

http://simonp.blog.fc2.com/blog-entry-2.html






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変動予算を用いた製造間接費差異の図解分析(その1)

数式 a x b は、下図のように、面積として示すことができる。
面積図


 
 原価差異の一つである製造間接費差異(原価差異)の総額は、(実際発生額 - 標準配賦額)の算式として求められ、その総額を3分法で示すと以下のように分類される。
   
 標準原価計算において、変動予算を用いて製造間接費差異を分析すると、①予算差異・②能率差異・③操業度差異に3分される。  以下に一般式を示す。

①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額


 これを図に示すと、次のように面積として表示される。

 緑色の部分は、標準配賦額(製造間接費における標準原価に相当する)であるので、この部分を除いた色付きの部分が”製造間接費差異”を示す。
 (図の中の数値は、以下の例題に使用されている数値である。)

原価差異5


以下、上図の面積( ①・②・③ )で表示された製造間接費差異の3分法について解説する

(変動費とは何か):変動費とは、操業度の増減に応じて、比例的に変動する費用のことである。操業度の単位は、”作業時間”が一番多いようである。”製品製造量”或いは”製品製造数”を操業度の単位とすることもある。こんなところから、操業度とは何かを推定してください。材料費が変動費の典型であるが、製造間接費では電力料(1Kwh当たりの単価 x 使用電力量)の類である。但し電力料金の基本料は固定費に属する。

(固定費とは何か):固定費とは、操業度の増減にかかわらず、不変で常に発生する一定費用のことである。電力料の基本料の類である。


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変動予算を用いた製造間接費差異を、以下の例題を基に、予算差異・能率差異・操業度差異に分解・図説する。

変動予算とは、操業度(この例題の場合は、作業時間)に対応する費用予算額であり、以下のようになる。
変動予算額(対実際時間)= (実際時間 X 変動費配賦率 )+ 固定費用
変動予算額(対標準時間)= (標準時間 X 変動費配賦率) + 固定費用

なぜ配賦率というのか : 製造間接費は電力料・ガス代・水道料金・消耗品費・保険料・減価償却費等の複数費目から成り、単一費目ではない。これが電力料だけといった単一費目であったなら、”時間当たりの料金”といったような単位で、材料費や労務費と同じ扱いがされたであろう。製造間接費は複数費目から成るが故に、”配賦率”という時間当たりの費用を製品に負荷する単位を設けたのである。

 例題の要素を以下に述べ、変動予算を導く。
基準操業度 : 直接作業時間 3,500 時間 (操業度100%)とし、この時の変動費総額・固定費総額は次の通りとする。
変動費総額 : 700,000 従って、変動費配賦率 700,000 ÷ 3,500 = 200
固定費総額 : 455,000 従って、固定費配賦率 455,000 ÷ 3,500 = 130

基準操業度とは操業度の単位を「作業時間」に取るなら、設備資源を100%稼動させた時に発生する(要する)作業時間(操業)を指すものであり、固定費を製品に配賦する基準である操業度ということになる。通常は予算設定時の作業時間で表す。予算作業時間と言ってもいい。1日8時間、月20日労働をするとして、一人当たり の月間作業時間は、160 時間が可能ということになる。 従って、20人の工場では、20x160=3,200 時間が、月間の基準操業度ということになる。 これに対して、欠勤・早退等があると、実際作業時間は、3,000 時間といった具合になる。なお、これらの数値は以下の例題とは無関係です。
 
 実際生産量から算出した作業時間要素は、以下の通りとする。
実際作業時間 : 3,070 時間
標準作業時間 : 3,000 時間(これに対し実際時間は3,070時間であるから、70時間は無駄時間であったということである。)

費用の実際発生額 : 1,105,840
標準配賦額 : ( 200 + 130 ) X 3,000 = 990,000
(製造間接費においては標準原価=標準配賦額 である)

この条件で、予算差異・能率差異・操業度差異を算出し、図解を試みる。

上記の要件から変動予算額を算出します。
変動予算額(対実際時間): 3,070 X 200 + 455,000 = 1,069,000
変動予算額(対標準時間): 3,000 X 200 + 455,000 = 1,055,000

( 1 )基準操業度 3,500 時間における、変動予算額(対基準操業度)は下図の面積で示される。

    これ以降の図は全て、費用額(配賦率 X 時間)を面積(色付の部分)で示している。

原価差異1


( 2 )実際時間 3,070 時間に対する変動予算額(対実際時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

 固定費は、「固定費」というくらいであるから、一定である。(と、仮定する。以下「固定費」は常に一定とする。固定費が変化する場合も当然あるが、これは次講に記述されています。)
原価差異2


( 3 )標準時間 3,000 時間に対する変動予算額(対標準時間)は下図の面積(色付の部分)で示される。

原価差異3


( 4 )費用の実際発生額は下図の面積で示される。:色付きの部分全てです。

 赤の部分は、実際発生額により、増加した変動比率である。
(実際発生額 1,105,840 - 変動予算額(対実際時間) 1,069,000) ÷ 実際時間 3,070 = 増加変動比率 12
 この 12 という数値は結果としてそうなったということです。例えば、電力料金の1時間当たりの料金が、当初予定していたよりも 12円 値上がりしたような場合です。
(本当は、1Kwh当たりの料金で電気料金は計算するが、この際は捨象する)

原価差異4



( 5 )帰結:差異分析図

( 4 )の図に、標準配賦額(緑色の部分 : 標準原価を意味する)を当て嵌めると下図のようになる。
 色が付いている部分から、緑色の部分を除くと、”差異総額”が示される。
 
この”差異総額”を、①予算差異・②能率差異・③操業度差異 に分解してある。
(第1法)と(第2法)に分けて図示し、各々について図の直後に、3分法の差異の”一般式”を示してある。
この面積図と ”一般式” が一致するのが、見て取れます。

(第1法)と(第2法)の違いは、”能率差異”と”操業度差異”の大きさにある。
これは、(第2法)の「②の2」の部分が、”能率差異”に属するか、”操業度差異”に属するかの違いである。


( 第1法 )
原価差異5

(第1法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間)

②能率差異: 変動予算額(対実際時間) - 変動予算額(対標準時間)

③操業度差異:変動予算額(対標準時間) - 標準配賦額

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,069,000 - 1,055,000 = 14,000(借方)
操業度差異 : 1,055,000 - 990,000 = 65,000(借方)



( 第2法 )
原価差異6

(第2法)の差異分析を ”一般式” で示す。 上図と算式内容が一致します。
①予算差異: 実際発生額 - 変動予算額(対実際時間) [ 第1法と同じである ]

②能率差異:(標準配賦率 X 実際時間) - 標準配賦額
[ 能率差異は、「②の1」と「②の2」を加えた部分である ]

③操業度差異:変動予算額(対実際時間) - (標準配賦率 X 実際時間)

 この数式に、例題の数値を当てはめると、次のようになる。

差異総額 : 1,105,840 - 990,000 = 115,840(借方)

予算差異 : 1,105,840 - 1,069,000 = 36,840(借方)
能率差異 : 1,013,100 - 990,000 = 23,100(借方)
操業度差異 : 1,069,000 - 1,013,100 = 55,900(借方)

製造間接費差異の図解(その2)に続く。
”次講” では、これまでのことを踏まえて、製造間接費差異が材料費差異・労務費差異と同じ概念になることを説明する。

 ”次講” へ行くには下記アドレスにマウスを当ててクリックして下さい。
 或いは右欄最上部 ”過去の題目” から選択して、クリックして下さい。
 

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原価差異における有利差異・不利差異について

原価差異における「有利差異」・「不利差異」を述べる前に、「原価差異」と「その処理」を理解しておく必要があります。

( 1 )原価差異とは何か

原価差異とは標準原価計算を前提としている。
実際原価・標準原価・原価差異の関係は、次の算式で表示される
実際原価 = 標準原価 + 原価差異
従って、原価差異 = 実際原価 - 標準原価 である

(原価差異 = 標準原価 - 実際原価 という算式を見かけるが、これは明らかに間違いである)

「実際原価」も「標準原価」も、数値は常にプラスである。
これに対して、「原価差異」はプラスの時もあり、マイナスの時もある。

例を示してみる。
標準原価を100とした時、実際原価が130であった場合、実際原価 = 標準原価 + 原価差異 の算式は次のようになる。

130 = 100 + 30

また実際原価が80であった場合は、この算式は次のようになる。

 80 = 100 + ( - 20 )

このように、原価差異の値は、プラスにもマイナスにも成り得る。


( 2 )「原価差異」の処理

 実際原価が真実の原価と考える立場からは、標準原価で表されている「仕掛品」・「製品」・「売上原価」を
実際原価に戻す(引き直す)為に、原価差異も最終的には「製品」・「仕掛品」・「売上原価」に配賦しなければならない。(本稿では、標準原価が真実の原価であるという立場には立っておらず、その件には言及しておりません)

「原価差異」を配賦する直前の、貸借対照表では「仕掛品」・「製品」は標準原価で表されており、
損益計算書でも「売上原価」はやはり標準原価で表されている。

「原価差異」を配賦するとは、原価差異を「仕掛品」・「製品」・「売上原価」に賦課するということであり、
実際原価に戻す(引き直す)ことを意味する。

( 3 )*** 原価計算基準における「原価差異」の取扱い ***
 (「原価差異」とは、B/S勘定に賦課するべきなのか、P/L勘定に賦課するべきなのか)

「原価計算基準」では、僅少の場合は「売上原価」に賦課する、つまりP/L勘定に賦課すると謳っています。
では、僅少でない場合はどうなるのか。
P/L勘定である「売上原価」とB/S勘定である「期末棚卸資産」に配賦することになります。


つまり、「僅少」の場合は、重要性或いは便宜性に鑑みて、「売上原価」に賦課するとしたもので
本来的にはどうなのか。
「原価差異」は、「売上原価」と「期末棚卸資産」に配賦することが、理論的には正しい。
何故か。「僅少」の場合は、便宜性を考慮しているだけで、理論的ではないからです。
大体において、何を以って「僅少」というのか甚だ不可解です。
手計算なら配賦計算に多大な時間が割かれるが、コンピュータ使用が当たり前の現在では、「僅少」云々は考える必要はありません。

( 4 )本論の「有利差異」・「不利差異」に入ります。

この言葉は、英語の「Favorable Variance」と「Unfavorable Variance」の直訳です。
有利差異 : Favorable Variance
不利差異 : Unfavorable Variance
「有利差異」・「不利差異」の語は、日本語としては意味を表しておらず、何のことか不可解な言葉になっています。

( 5 )「有利差異」・「不利差異」の意味合いは何か

実際原価が標準原価よりも費用(cost) が少なかった場合は、「有利差異」を表す。
実際原価 < 標準原価 の場合です。
原価差異 = 実際原価 - 標準原価 ですから、原価差異 < 0 となります。
つまり原価差異 < 0 の時、「有利差異」と呼称しています

実際原価が標準原価よりも費用(cost) が多かった場合は、「不利差異」を表す。
実際原価 > 標準原価 の場合です。
前述と同じ考えで、 原価差異 > 0 となります。
つまり原価差異 > 0 の時、「不利差異」と呼称しています。

標準原価を基準にして、実際原価がこれよりも少ないと「有利」、或いは多いと「不利」といっているだけです。
原価差異 < 0 の時、「有利差異」と言い、原価差異 > 0 の時、「不利差異」と言っているわけです。

実際原価が真実の原価と考える立場からは、標準原価を基に実際原価に戻した時(引き直した時)、
「Favorable Variance(有利差異)」の場合、標準原価に比して実際原価が減少し
「Unfavorable Variance(不利差異)」の場合、標準原価に比して実際原価が増加するということです。


( 6 )簡単な具体例を以下に示します

実際原価は170
標準原価は140とすると
原価差異は 170 - 140 = 30
この場合は、借方差異(原価差異の残高が借方に現れるから)で不利差異となります。
実際原価が標準原価より多かったからです。

実際原価は120
標準原価は250とすると
原価差異は 120 - 250 = ▲130
この場合は、貸方差異(原価差異の残高が貸方に現れるから)で有利差異となります。
実際原価が標準原価より少なかったからです。
数値が”マイナス”だから「不利差異」だと思うのは、日本語のイメージに惑わされているだけです。

 ”マイナス”は、これを直訳すると”負”であり、「不利差異」の”不利”も”負”のイメージを連想させる。
だが、原価差異の値が”マイナス”というのは、「有利差異」であり、「不利差異」ではない。
これはもとより、このような日本語の”負”のイメージを持った”不利”という言葉を、”Unfavorable Variance” に当てはめたのが宜しくなかったわけで、語彙不足の感は免れない。
そのために、原価差異がマイナスだから、「不利差異」であるという誤った認識を与えがちである。
原価差異がマイナスの場合(Favorable Variance)は、「原価低減差異」とでもした方がまだよかったと思われる。



 同様に、「プラス」は直訳すると”正”であり、「有利差異」の”有利”も”正”のイメージを連想させる。
だが、原価差異の値が”プラス”というのは、「不利差異」であり、「有利差異」ではない。
これもまた、このような日本語の”正”のイメージを持った”有利”という言葉を、”Favorable Variance” に当てはめたのが宜しくなかったわけである。
そのために、原価差異がプラスだから、「有利差異」であるという誤った認識を与えがちである。
これも原価差異がプラスの場合(Unfavorable Variance)は、「原価増加差異」とでもすべきではなかったのかと思われる。


( 7 )「有利差異」・「不利差異」の要旨

 あくまで標準原価が基準なのです。「有利差異」・「不利差異」は次のような語に置き換えると理解しやすいでしょう。
「Favorable Variance」はプラス差異(標準原価に比して原価が減少し、企業に有利(プラス)にはたらく)
「Unfavorable Variance」はマイナス差異(標準原価に比し原価が増加し、企業に不利(マイナス)にはたらく)

 原価差異は一義的には仕掛品・製品と同じく B/S (P/Lのこともある)の借方勘定に集約され、最後は売上原価に配賦されるので P/L の借方勘定である事がいえます。いづれにしても原価差異は借方勘定なのです。
 
つまり実際原価が標準原価に比して、増加するなら「借方差異」であり、逆に減少するなら「貸方差異」ということです。
(原価差異勘定の借方に残高がある時は、原価差異 > 0 で「借方差異」(不利差異)と称し、
 原価差異勘定の貸方に残高がある時は、原価差異 < 0 で「貸方差異」(有利差異)と称しているだけです)


( 8 )「原価差異」の勘定間の流れ図

 これ以降は、「有利差異」・「不利差異」の説明には直接関係が無いが、「原価差異」の配賦の様子を
関係勘定間の流れと一緒に示したものである。

製品製造に関する勘定科目は、仕掛品、製品、売上原価 というようにその勘定形態を変える。
製品と仕掛品はB/S 勘定である。売上原価はP/L勘定である。
両方とも借方勘定である。

勘定の変遷


実際原価が真実の原価と考える立場からは
実際原価に戻す(引き直す)為に、原価差異も最終的には「仕掛品」・「製品」・「売上原価」に配賦しなければならない。

( 8 )-① 標準原価と原価差異の勘定間の流れを纏めると、以下の図になる。
「受入価格差異」は考慮に入れていません。
(実線矢印は標準原価を示し、点線矢印は原価差異の流れを示す)
 極太矢印は原価差異の抜き出しを示す。 

原価差異の配賦


注① 実際原価が仕掛品勘定の借方に記入される。
   標準原価が仕掛品勘定の貸方に記入される。

   製品勘定・売上原価勘定の借方・貸方には標準原価が記入される。
   つまり、製品勘定以下は、全て標準原価が記入されるということである。

注② ”仕掛品”勘定から”原価差異”が一旦”原価差異”勘定へ集められる。(極太矢印)
   この結果”仕掛品”勘定の残高は標準原価になる。
   その後”原価差異”は、月末に”仕掛品”・”製品”・”売上原価”の各勘定へ、配賦される。

注③ 月末或いは期末に原価差異の配賦(点線矢印)
   配賦される前の段階の”仕掛品”・”製品”・”売上原価”の各勘定の残高は
   標準原価で示されている。

( 8 )-② 原価差異の(配賦基準)
原価差異の内、「材料費差異」は、期末に仕掛品残高・製品残高及び
売上原価に含まれる材料種別「標準材料費」に応じて配賦する

「労務費差異」・「製造間接費差異」は期末に仕掛品残高・製品残高及び
売上製品数量(売上原価)の「標準操業度」(通常は標準作業時間)に応じて配賦する



「受入価格差異」の取扱いについて

「材料費差異」は「価格差異」と「数量差異」から成るが、「価格差異」を「受入価格差異」として、
材料を仕入した時点で把握している時は、材料勘定の借方・貸方とも標準原価で記入される。

従って、期末に実際原価に戻す(引き直す)時は、仕掛品残高・製品残高・売上原価の
3勘定に「材料」勘定を加えた4勘定に、「受入価格差異」を配賦する必要がある。







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実効税率の一般式

 実効税率とは、課税所得に対する法人税、住民税、事業税の割合を示す。
英語の ”Effective Tax Rate” の翻訳である。
  
実効税率の一般式を導いてみる。
[ 実効税率の定義は、次の数式で示される。 ]実効税率の定義

 この式の「税引前利益」とは何か。
 完全に同じ取引を行った2社があったとすれば、各々の会社の「税引前利益」は一致するはずである。
ところが実際は、この2社の「税引前利益」は、異なる数値になるのが常である。
何故なら、各社の経理責任者の判断が違うからである。
 
 従って、各企業が作成する企業会計上の「税引前利益」は、「実効税率」を計算する数式の「税引前利益」
ではないことになる。 
数式である限りは、常に同じ値が要求される。

 この「税引前利益」は、税法上の「税引前利益」である。
ところが、税法には「税引前利益」の明確な定義は無い。殆どの人が、漠然としたイメージしか持っていないと思う。

 税法上の「税引前利益」は、以下のようになる。
税法上の「税引前利益」 = 課税所得 + 事業税

(注): 「課税所得」とは、各社の「企業所得(利益)」に、「加算」「減算」という税務上の調整を加えた
    数値である。
    この数値に税率を掛けると、税金が計算される。 
    上記の2社のように同じ取引の場合、「課税所得」は、同じにならなければならない。

   課税所得は、事業税が費用として差引かれているので、事業税が差引かれる前の「税引前」
   に戻すために加算する。

 上記の数式に、「税引前利益」 = 課税所得 + 事業税 を当てはめると以下のようになる。
 
実効税率の分解
***(注)***
住民税 = 法人税 x 住民税率
      = 課税所得x法人税率x住民税率


この段階で、分母と分子を、各々「課税所得」で割る(つまり1で割る)と、次のようになる。


実効税率の分子1


実効税率の分子2

         = 法人税 + (法人税 x 住民税) + 事業税



実効税率の分母1


実効税率の分母2

         = 1 + 事業税


 この結果、実効税率の一般式は次のように導かれる。

実効税率の公式

 何がどう変わったのか。
 当初の算式は、分子は税金額であり、分母は利益金額であった。その”金額”が一般式の帰結では
”税”に変わっている。
 このことは、実効税率は、税率さえ判れば計算できることを示している。つまり、実際の税金計算は期末決算期後でないと計算ができないが、実効税率そのものは期首の段階で算定できることを表している。





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